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2021年3月15日
地震に負けない家づくり~知っておきたい構造・工法のこと~【コラム】
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地震に強い家づくりをする必要性
日本は、言わずと知れた地震大国。
記憶に新しいところでいうと、東日本大震災における死因のほとんどは津波による溺死でしたが、阪神大震災における死因のおよそ8割が家屋の倒壊や家具の転倒による圧死や窒息死だったそうです。
つまり、住宅の耐震性能を高めることは、家族の命にもかかわる重要なこと。
注文住宅を建てる際は、このような「地震に強い家づくり」をすることが求められています。
しかし「耐震性能」と言っても、実際には家を建てるハウスメーカーによって、採用している工法や建材・部材なども異なりますよね。
そこで今回は、地震に負けない家づくりのために、構造や工法など知っておきたいポイントについてご紹介します。
地震に負けない家づくり①
耐震?免震?どれがいい?
地震が起きたときに建物へのダメージを最小限にするための構造。
よく「耐震構造」や「免震装置」など耳にすると思います。
家の耐震性能を高めてくれるこれらの構造は、似ているようで全然違うもの。
これから家づくりする人は覚えておくと役に立ちますよ。
【耐震とは】
耐震とは、地震の揺れに耐えること。
家の壁や柱、梁などを頑丈にすることで、地震の揺れに耐え得るようにつくります。
主に一戸建て住宅に多く採用されている構造です。
【免震構造とは】
免震とは、地震の揺れを建物に伝わりにくくすること。
基礎に取り付けた免震装置などにより、地震の揺れを吸収し、建物自体の揺れを減らします。
最近ではマンションによく採用されています。
【制震とは】
制震とは、地震の揺れを吸収する装置などを建物内部に組み込み、揺れを抑えること。
言葉どおり、地震の揺れを吸収し、抑えてくれることで建物の倒壊を防ぎます。
主に3~5階建てのマンションで採用されています。
【減震とは】
減震とは、建物に伝わる地震の揺れを最小限に減らすこと。
建物の重量と同じ分の地盤を取り除き、特殊な材料を敷き詰めることで、地震の激しい揺れから建物を守ります。
実績のあるスーパージオ工法などが有名です。
スーパージオ工法は、液状化現象にも対応しているため、液状化現象による地盤沈下で建物が倒壊する心配もありません。
地震に負けない家づくり②
基礎は「ベタ基礎か布基礎か」
家の土台となる「基礎」には主に以下の2つの種類があります。
【ベタ基礎とは】
ベタ基礎とは、家の床下全面に鉄筋コンクリートの盤面を入れた工法のこと。
面で建物を支えるので、地震の揺れに強いのが特徴。
ただし、布基礎に比べるとコンクリートと鉄筋を入れる量が多いため、コストがかかるというデメリットがあります。
【布基礎とは】
布基礎とは、平均台のように連続したコンクリートの面で土台を受ける工法のこと。
コンクリートで覆うという点は、ベタ基礎と同じですが、建物自体を支えるのは立ち上がっている鉄筋の部分のみ。
面で支えるベタ基礎に比べ、布基礎は点で支えるため、耐震性に不安があるというのがデメリットです。
ただし、布基礎だからダメとは一概に言い切ることはできません。
地盤を強化したり建物自体の耐震性能を高めたりすれば、布基礎でも問題ないことがあります。
地震に負けない家づくり③
木造工法
地震に負けない家づくりをする際は、木造住宅を建てる工法についてもこだわりたいもの。
どのような工法があるのか、その特徴についてそれぞれ見ていきましょう。
【2×4壁工法】
2×4(ツーバイフォー)壁工法とは、2インチ×4インチの木材で作られた枠組みに、合板を貼った「面」で構造体をつくる方法のこと。
壁、天井、床といった6面で建物を支えるので、地震の揺れを分散させることができます。
【木造軸組み工法】
木造軸組み工法とは、古くから日本で用いられている「在来工法」のこと。
柱を立て、梁を水平に渡して筋交いを入れて補強して構造体をつくっていきます。
面で支える2×4壁工法に対し、点で支えるのが木造軸組み工法。耐震面では2×4壁工法に比べると不安が残りますが、耐力壁をバランスよく配置したり、柱や梁を配置したりすることで耐震性能を高めることも可能です。
【ハイブリッド工法】
ハイブリッド工法は、2×4壁工法と木造軸組み工法の2つの「いいとこどり」をした工法のこと。
木造軸組み工法によって構造体をつくり、構造材の外側に耐力壁としてパネルを張り詰め、さらに必要な部分に筋交いを設けて耐震性を強化します。
これなら、点ではなく「壁」で建物を支えられるので地震や強風でも安心ですよね。
地震に負けない家づくり④
地盤
耐震性能を高めた家づくりをしても、そもそも家を建てる地盤が弱いと地震による影響を受けてしまうことがあります。
まずは、家を建てる際に土地の強度を知るために「地盤調査」を行いましょう。
【地盤調査「スウェーデン式サウンディング試験」とは】
主に戸建住宅で行われているのが「スウェーデン式サウンディング試験」。
スクリュー状の鉄の棒を地面対し垂直に立てて重りを載せ、一定の深さに到達するまでの時間などで地盤の固さを計測する方法です。
比較的コストも低く、精度も高いのが特徴です。
【地盤調査の結果によっては改良工事が必要なことも…】
地盤調査を行った結果によっては、改良工事が必要なことも当然あり得ます。
一般的な地盤改良工事の方法は主に以下の3つ。
地盤が弱い部分の深さや周辺の土地によって採用する工法が異なります。
◎表層改良工法…セメントを使用して地表周辺を固める工法のこと
◎柱状改良工法…円柱状に地盤を固めた改良杭によって建物を支える工法のこと
◎鋼管杭工法…鋼管を用いて地中から建物を支える工法のこと
そして、もう一つの地盤改良方法が、上にも挙げたスーパージオ工法。
減震効果や液状化対策に効果的なだけでなく、資産価値を下げないというメリットもあります。
土地・建物売却等の際、柱状改良や鋼管杭等の従来工法では、産業廃棄物を排出するため、処理費用として200~250万円かかり、不動産価値を下げてしまうこともありますが、スーパージオ工法は杭を打たない工法なので、部材を取り除くだけでOK。
多大なコストをかける必要がありません。
どの工法で改良工事を行うかは、地盤改良工事を施工する会社や家づくりを依頼する会社に確認すると良いでしょう。
地震に負けない家づくりで家族の命を守ろう
地震というのは、いつどこで起こるかわからないもの。
地域によって様々な防災対策があると思いますが、大切な家族の命を守るためにも、日ごろの備えは重要ですね。
私たち無添加計画では、全ての住宅で「耐震等級3」の家づくりを推奨しています。
ただし、耐震等級3の家だからと言っても、絶対安心とは言い切れません。
しっかりとした構造計算をし、家全体のバランスをとることで、より安心安全な家づくりをしているのです。
今回ご紹介した「ハイブリッド工法」や「SG工法(スーパージオ工法)」もその1つ。
大切な家族の命を守ることはもちろん、地震によって大切な財産を失わないためにも、地震に負けない家づくりを検討してみてください。